2012年3月11日 東日本大震災の発生から1年を経て

  去る2011年3月11日の14時46分に発生した東日本大震災から丸1年が経過しました。震災によって亡くなられた皆様には哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。

 当方は鉄道関連の分野で執筆等に携わる者であるから、個人的には東日本大震災で被災した鉄道がすべて復旧すれば理想的だ。しかしながら、鉄道が復興後の社会に必要とされず、その復旧によって後世に大きな負担を残すのであれば、躊躇することなく放棄してほしいと考える。
 2011年の9月にNHKラジオ第一放送の「私も一言! 夕方ニュース」という番組では「震災半年」をテーマに取り上げた。そのなかで、9月9日に放送された「どう立て直す? 被災地のローカル線」で当方は被災地の鉄道の現状と展望についてコメントさせていただいている。まだ震災から日が浅いため、当方は冒頭に述べたような厳しい見方は示していない。すると、生放送の番組中、地元の方から次のような声が寄せられた。
「三陸鉄道がいち早く復活してもてはやされているけれど、自治体はそんな金があるのならもっと困っている人に対して金を使ってほしい」
 このような意見は他にもあり、恐らくは地元からの声の半分近くはこうした意見であった。もちろん、いち早く復旧させた三陸鉄道の関係者の尽力には頭が下がるし、利用客の皆さんの利便を考えると、単純に三陸鉄道の復旧を優先度が低いとして切り捨ててよいとは思わない。ただし、被災者が直面している一番の問題は金銭面であることもまた確かである。当方が住む千葉県富津市でも津波によって漁業が大きな被害を受けた。復興させようにも資金がないために泣く泣く地元を離れる人の話も聞いている。金さえあればこのような問題は起きなかったはずだ。
 われわれが住む世の中は資本主義の世界である。貨幣すら廃止し、その後大虐殺を行ったカンボジアはクメール・ルージュの世ではない。それから、感情に突き動かされて社会の秩序を乱すことが許される世界ではないことを理解する必要がある。ここはジム・ジョーンズ率いる人民寺院が集団自殺したジョーンズタウンではないのだから。
 東日本大震災について、当方の同業者らは希望を語る人が多い。当方はそうした意見を否定はしないが、どことなくうわべだけで空虚なものに感じられる。そのようななか、手前味噌ではあるものの、鉄道ジャーナリスト史絵.が2011年3月11日に記した「黙祷」という題名のブログには、震災への無力感と現実的な抱負とが示されていて評価したい。
 当方の考えなど復興には何の役にも立たないだろう。「鉄道ジャーナリストを名乗っているくせに鉄道に冷たい奴がいる」とだけ思っていただければ幸いだ。
  • 2012.03.12 Monday
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2012年2月27日 朝日放送「ビーバップ! ハイヒール」出演のお知らせ

 朝日放送系列にて3月1日(木)の23時17分から放送される「ビーパップ! ハイヒール」に梅原淳が出演いたします。タイトルは「本当はめっちゃスゴイ! 新幹線」というものでして、新幹線のなかでも東海道新幹線が中心に取り上げられ、梅原淳はゲストブレーンを務めております。主に関西地区での放映とのことですが、ご覧いただける環境にいらっしゃいましたら、どうぞご覧ください。

  • 2012.02.28 Tuesday
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2012年1月11日 速報 山崎正夫前JR西日本社長の無罪判決について

 2005年4月25日に発生した西日本旅客鉄道株式会社福知山線塚口駅〜尼崎駅間列車脱線事故(以下、福知山線列車脱線事故)に関し、刑法第二百十一条第一項の業務上過失致死傷等の罪に問われていた山崎正夫前JR西日本社長に対し、2012年1月11日午前、神戸地方裁判所は無罪(求刑は禁固3年)を言い渡した。筆者には判決が妥当であるとか、不当であるといった感想は一切ない。理由は後ほど触れることにしよう。
 筆者は2011年11月に共同通信社から判決の見通しを求められた。その際、一審では執行猶予付きの有罪と回答したので予想は外れたこととなる。ちなみに、共同通信社にはコメントしなかったものの、筆者は二審では無罪の判決が出され、最高裁判所に上告された後、無罪が確定と考えていたので、無罪の判決は一段階早かったと言えよう。
 恐縮ながら、筆者は公判を傍聴したことはない。取材した記者の話や記事から判断するに、今回の裁判は争点が少々ずれていたのではないかと感じられる。山崎前社長が鉄道本部長在任中の責任を問う裁判であるから、福知山線列車脱線事故が起きた場所に速度照査機能をもつATS(自動列車停止装置)の不設置を決めたという具体的な責任が追及されるのかと思いきや、この事故を予見できたかどうかについての責任が問われていた。起訴の経緯からやむを得ないかもしれないが、これでは現業部門の責任者への裁判というよりも、JR西日本という鉄道事業者としての責任、そして鉄道事業者全体、さらには監督者の国土交通省の責任まで問うような内容を山崎前社長に追及していたのではないかと勘ぐられても不思議ではない。事実、公判中の記事を見返しても、明らかに山崎前社長が社長在任時の責任であると混同して書かれている記事が散見された。
 かような裁判であっても過去には有罪判決が出された例も見受けられるので、筆者は執行猶予付きの有罪と予想したが、これはなかなか苦しい判決である。ならば無罪判決がすっきりとしているのかといえば、本来争うべき点とは異なっているためにそうとも思えない。したがって、筆者は何の感想も抱き得ないのである。
 以前から指摘していることではあるが、今回の裁判でも国土交通省の前身である運輸省の関与ぶりがあまりというか全くと言ってよいほど重視されていなかった。たとえば、運輸省は1967年1月に鉄運第11号として地方鉄道法(現在は廃止。対象は鉄道事業法によるJR以外の鉄道事業者に相当)による事業者向けに「自動列車停止装置の設置について」といって速度照査機能付きのATSの導入を促す通達を出していたものの、民営化直後のJR各社のATSは安全度が低いということに配慮して廃止した点、またJR西日本に対して速度照査機能を備えたATS-Pの導入を指導した結果、大阪環状線と阪和線とに設置されたという事実がそれぞれ見過ごされている。JR西日本が運輸省の指導にどの程度従ったのか、さらには同省がどれだけの強制力をもって指導したのかまではいまだにはっきりとはしていない。山崎前社長の責任を問う過程で国土交通省の監督責任が問われることを避けたのか、あるいは単純に看過されたのかと考えるが、理由は不明だ。
 いずれにせよ、筆者は判決文も判決要旨も未読である。したがって、いまは雲をつかむような内容となるコメントしか出せない点をご容赦いただきたい。

  • 2012.01.11 Wednesday
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2012年1月10日 「現代の谷暘卿(たにようけい)、青木槐三(あおきかいぞう) 吉村光夫さんの逝去を悼む」

  鉄道を愛された吉村光夫さんが亡くなられてから1年が過ぎ、「現代の谷暘卿(たにようけい)、青木槐三(あおきかいぞう) 吉村光夫さんの逝去を悼む」をようやく追悼文として捧げることができました。一見、個人的な思い出話に感じられるかもしれませんが、ジャーナリストとして成すべきことを知りたいという方には参考になるかと存じます。

2011年9月19日 『鉄道の未来学』発売のお知らせ

  梅原淳が執筆いたしました『鉄道の未来学』(角川oneテーマ21。定価は税込みで760円)が2011年9月10日に角川書店より発売となりました。本書は、2010年代後半から2020年代にかけての鉄道の姿を展望し、問題点について可能な限り解決策を示したものです。ぜひ一度お手にとっていただければ幸いです。
 ところで、すでにお読みいただいた皆様から、本書の記述の誤りに関するご指摘をいただきました。当方の確認ミスによるものでございまして、おわびして訂正いたします。誤りの生じた具体的な場所と訂正点につきましては「鉄道よもやま話」中、「『鉄道の未来学』の正誤」をご覧ください。
  • 2011.09.19 Monday
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東京電力による計画停電と首都圏の鉄道について(速報)

 東北地方太平洋沖地震によって一部の発電所が破壊され、発電能力が落ちたことによって東京電力は計画停電を実施して大規模停電を防ぐこととなった。2011年3月14日15時現在、予定された計画停電は実施されてはいないものの、首都圏のJR東日本や大手民鉄等の各線では運休や列車の大幅な間引き運転によって大混乱が生じている。その様子は一言で申し上げて、1970年代に展開された国鉄の順法闘争のようだ。特に県庁所在地である千葉市の代表駅、千葉市には東京方面への鉄道の便が失われるなど、従来の常識では考えられない状況に陥っている。
 いままでのところ、計画停電は回避されたものの、鉄道の運転は復旧していない。電力を大量に消費する鉄道の運転を再開するとたちまち電力の需給バランスが崩れてしまうからだ。
 それでは、鉄道が必要とする電力はいかほどなのだろうか。国道交通省鉄道局監修、『平成20年度 鉄道統計年報』、電気車研究会、2010年12月(JR東海のデータは『東海道新幹線のあゆみ』、東海旅客鉄道新幹線鉄道事業本部、2005年3月)によると、首都圏に乗り入れるJR各社と大手民鉄各社との電力消費量はのとおりだったという。筆者はこれらの数値から求めた東京電力にとって必要な発電能力をまとめてみた。ラッシュ時のようなピーク時に必要な発電能力を通常時の3倍として計算しているのは、多くの鉄道にとって車両の稼働率はラッシュ時に2から3倍に高まるからであり、今回は多めに見積もって3倍と考えている。
 JR東日本は川崎火力発電所と信濃川発電所と自前の発電所を所有し、JR東海の東海道新幹線は計画停電の影響を避けるために中部電力大井川発電所からの供給に切り換えたとのことなので、正確な数値は求められない。だが、ピーク時に必要な発電能力は大手民鉄だけでも105万kWであり、JR東日本が東京電力から供給を受けている分を合わせると200万kW弱といったところではないだろうか。つまり、およそ半分の半数の列車しか運転できていないということはピーク時に約100万kWの電力を節約できたと考えられる。鉄道が消費する電力は案外多くはないものの、東京電力にとっては大規模停電を避ける頼もしい相手であることは間違いない。しかし、このような状態はいつまで続くのかは不明だ。急いで火力発電所を建設するほかない。
 弁解で恐縮だが、間もなく予定されている本日2回目の計画停電(1回目は未実施)までに本稿を間に合わせるよう、大慌てて執筆したため、データの算出方法などに誤りが見られるかもしれない。気がつかれた方はご一報くだされば幸いである。
  • 2011.03.14 Monday
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東北地方太平洋沖地震につきまして

  2011年3月11日14時46分ごろに発生いたしました東北地方太平洋沖地震は甚大な被害をもたらし、多くの方々が被災されたことは既報のとおりです。被災された皆様にはお見舞いを申し上げ、命を落とされた方々には謹んで哀悼の意を申し上げます。また、被害に遭われた方々の救助、救援にあたっておられる皆様には感謝の意を表明いたしますとともに、遂行される任務の安全を祈願する次第です。
 今回の地震は、筆者が専門としている鉄道に関しましても大きな被害をもたらし、同時に多くの課題を残しました。海岸沿いに線路が敷かれていることの是非、大都市における帰宅難民への問題など、一部は各メディアを通じてコメントいたしましたが、今後改めて検証していきたいと考えております。
 しかしながら、鉄道について考えられるのも命あってのことでしょう。私事ながら、筆者は千葉県富津市の東京湾沿岸に居住しておりまして、自宅は地震とともに停電となり、直後に発表となった大津波警報に伴う避難指示によって避難し、避難所で一夜を過ごしました。当地での津波の被害に関しましては太平洋沿いの皆様とは比べものにならないほど小さなものですが、それでも市内の漁港では漁船が打ち上げられたり、一部で浸水したと聞いております。巨大な自然の力を前に、「間一髪で生き延びることができた」との感想が偽りのない心境です。
 ほぼ一日というわずかな時間ではありますが、避難者となった筆者の経験から、今後皆様のご参考になるような意見の表明あるいは行動を取っていきたいと考えます。最後になりましたが、ここで再度被災者の皆様にお見舞いを申し上げますとともに、現在行方がわからなくなっておられる方々の無事を祈念いたします。
  • 2011.03.13 Sunday
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広田尚敬著、『鉄橋コレクション 変わりゆく風景、変わらない風景』ご購読の勧め

 2010年11月25日に講談社から『鉄橋コレクション 変わりゆく風景、変わらない風景』という名の書籍が発売となった。著者は鉄道写真のパイオニアにして第一人者の広田尚敬氏。B5判・175ページで発行は講談社、定価は3800円(税別)である。
 本書は、全国各地に点在する鉄道の橋梁の最も美しい姿を収めた写真集だ。広田尚敬氏の鉄道写真家生活60周年を記念して出版される写真集の第5弾だけあって、本書に収録されている作品はおよそ半世紀の時間をかけて撮影したものから厳選されている。どのページを開いても、広田氏の唯一無比の感性と、超絶とも言える技術とに裏打ちされた橋梁の写真が目に飛び込み、その迫力に圧倒されることは間違いない。
 僭越ながら、本書において筆者と史絵.は橋梁に関するデータの調査を実施し、同時に筆者は「鉄橋の豆知識」という拙文を執筆した。自らが手がけた著作物ということもあり、本書を評するとどうしても宣伝がましく受け取られてしまう。だからといって本書を紹介しないのはあまりにも惜しく、鉄道業界そして出版界においても大きな損失であると考えた。したがって、通常は認められない手法での紹介をお許しいただきたい。
 本書に収められた300余りの橋梁の作品の一つ一つは膨大な手間を要して撮影された。車両や列車の扱い、季節や天候の表現、背景の処理と、橋梁の一つ一つにおいて広田氏がイメージしたとおりの姿になるよう、試行錯誤を重ねた末に記録されたものである。その点については、本書に所収の橋梁を実際に訪れていただければおわかりになるだろう。実物の橋梁は広田氏が撮影した作品のようにはまず見えないからだ。
 筆者は橋梁のデータ作成に当たり、まずは橋梁の名称を確定させる作業から取りかかった。その際に大いに参考になったのは、社団法人土木学会が発表した歴史的鋼橋のデータベースである。だが、広田氏の撮影記録から明らかに同一の橋梁だと思われたにもかかわらず、作品に写し込まれた橋梁の姿と学術的に撮影された橋梁の姿とがあまりに違いすぎて、名称の確定に困難を来したものも多く現れた。まさに広田氏でなければ写し得なかった橋梁の姿が収められている事実の証左である。
 手前味噌となるが、広田氏の作品の迫力に負けぬよう、本書は橋梁のデータの項目にさまざまな要素を盛り込み、万全を期した。長さはもちろん、構造や材質、架設年月といった点だ。特に下部構造、つまり橋梁の基礎部分についての詳細はこの種の書物で触れられることは少なかったので、興味深くお読みいただけるのではないかと自負している。
 今回の調査に際し、ご多忙にもかかわらず、橋梁のデータをご提供いただいた鉄道事業者、軌道経営者各位のご尽力には改めて感謝の意を表したい。懇切丁寧なご回答から、いかに鉄道の当事者たちが橋梁というものを大切にしているかを再認識することができた。
 余談だが、鉄道事業者、軌道経営者各位のなかには、自らが所有する橋梁が広田氏の写真集に取り上げられることを光栄だととらえ、感謝の言葉を口にされたところも数多い。広田氏がこれまでいかに鉄道界の発展に貢献してきたかを示すエピソードであるとともに、氏の人徳が多くの人々に理解されていることに当方も史絵.も幸福な気分となった。
 間もなく2010年も暮れようとしている。引き続き本年も数多くの鉄道書が世に送り出された。恥ずかしながら筆者も史絵.との共著を含めて5冊を上梓した。それらのなかでも本書はひときわ輝く存在だと言える。鉄道に興味を抱いておられる方、近代産業遺産に深い関心をお持ちの方にはまさに必携の書である。本書が一人でも多くの皆様の目に触れ、作品を通じて橋梁ひいては鉄道そのものの魅力に感じ入っていただければ、関係者としてこれに勝る幸せはない。
  • 2010.12.20 Monday
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2010年7月22日

「鉄道よもやま話」を更新しました
JR西日本の車掌が自社の電車に搭載された防護無線の予備電源装置のヒューズを抜き取ったとして、偽計業務妨害と器物損壊の容疑で大阪府警察に逮捕されました。この件につきまして、取り急ぎ「鉄道よもやま話」で筆者の考えを申し上げます。

備後落合駅17時05分発、三次駅行き第363D列車より JR西日本芸備線備後西城-平子間にて 2010年6月9日撮影


「The dream is over(夢は終わった)」(ジョン・レノン、「God」より)

「ぼくには君の目を醒ますことはできない。君になら君の目を醒ますことができるんだ。ぼくには君の傷を治せない。君になら君の傷を治せるんだ。」(「PLAYBOYインタビューPART2 ジョン・レノン」、「PLAYBOY日本版第69号」、1981年3月、166ページ)
  • 2010.06.13 Sunday
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